辞世の句とするならば、

 随分物騒な始まり方だなと自分でも思う。

 さて、2023年が始まってひと月が経った(追記:結局それから3ヶ月過ぎた4月になって、私はこの文章をネットの海に投げつけている)。なかなかにセンシティブな話題であるような気がするので残すかどうか迷ったけれど、きっと未来の自分が「ハェwwwwwwこの時の私おもしろwwwwww」と墓を掘り起こして棺を叩いて笑うだろうと思って、敢えてここで綴っておくことにした。見てるか私。2023年も楽しそうだぞお前。

 お察しの通りあの話だ。IMPACTorsが、ジャニーズ事務所をどうやら退所するらしい。

 出戻るなんて微塵も思わなかったこの界隈、思い返せば親子席から始まった#ジャニーズのある暮らし、まさかこんな形で幕を下ろすことになろうとは。それは、素直にそう思う。もしまたここを離れるならば、それは私自身がもう特定の贔屓を持たないと決意した時だろうと思っていたし、その時が来てもきっとこのコンテンツ自体は好きで居続けるのであろうとも漠然と思っていた。そうしたら、これだ。全くもっておもしれー男たちである。

 少しまともなファン(?)らしいことも言っておくと、まあ何も心配でないというわけではない。なにかしらの理由で決断したのだろうから、それはさぞやんごとないことなのだろうとは推察できる。彼らはジャニーズというものに対して憧れの強いグループに映っていたから(少なくとも私の目には、だ)、そんな彼らがそう選択したのだから、生半可な理由ではないだろうし、生半可な覚悟でもないのだろう。別に話してくれ説明してくれなんて思っちゃいないし、話したいなら勝手に話したらいいが話したくないなら話さなきゃいいと思う。私は彼らの言う大きな横並びのうちのひとりで、仲間だし味方だけれど、別に何も知らなくたって仲間にはなれるだろうと思うから。

 ただそれを聞いて、失うものを考えた時、無性に悔しくなった。名前、オリジナル曲、衣装、デビュー組になった未来。私の考えすぎなんかじゃなく、これは確信をもって、彼らの宝物であるはずで。それを、本来であれば一欠片だって取りこぼしたくないそれを、彼らは自分たちの手で捨てる選択肢を取ったと思うと、それが何よりも悔しかった。自分がなにか出来るわけなんてないのに、守ってあげたかった、傲慢にもそう思った。不安より悔しさで涙を流した。彼らの前で、ではなかったのが幸いだ。私にはPINKyとして強いふりをしていたいという意地があったから。

 今までまあまあしっかりめにオタクという人種として生きてきた。だから、嬉しい経験も悲しい経験もそれなりにしている。それでも、何度だって痛いし悔しい。宝物を、宝物だと解っていながら捨てる覚悟をするのは、苦しい。私よりもずっと苦しいはずの彼らを想うと、もっともっと苦しい。だからって何もできないのも、わかっているから苦しい。悔しい。
 どうしよう、と考えて思った。私に出来るのは、全部飲み下して笑うことくらいなんじゃなかろうか、と。お別れを憂うより、未来を楽しみにしていようと。不安が胸をつついてきた時は、それが紛れるくらいの大声で好きを叫んでいようと。
 もちろんこれは虚勢で、意地で、こんなところで誰かもわからないように弱音を零すくらいには、私は弱い。本当は弱いけれど、それでも彼らがSNSという言葉の海をぼんやり眺めた時に、私は強がってでも明るくありたいと思った。なにもできないなら、なにもできないなりに。だって結局何を憂いたところで、あの7人との横並びから消えるつもりは、今の私にはこれっぽっちもないのだから。だったら、私は虚勢でいいから笑っていたい。失うものを憂うより、なくしたものを悲しむより、今あるものを抱き締めて笑いたい。
 だって私が大好きな人は、いつだって最高を更新してくれる人だから。あの頃はよかった、なんて言っていたら、歩みを止めないあの人に見劣りしてしまうじゃないか。

 とはいえ、産まれてから随分長いこと連れ添ってきたそれとお別れすることだけは確かだ。憧れた私を、やさしく埋葬する番が来る。看取ってやるもの私一人なのだろうから、あとのことは私に託してこう結んでおこうと思う。

夜もすがら 契りしことを 忘れずは

 きっと私がいつか、この私の無責任に怒ってくれることを期待して。